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夜に駆ける【YOASOBI】歌詞の意味を考察!歌詞から読み取る曲の本当の意味とは?

今回は2019年にリリースされたYOASOBI一作目のシングル「夜に駆ける」の歌詞考察をしていきます!

「夜に駆ける」は、ボーカロイドプロデューサーでYOASOBIのメンバーであるAyaseさんが作詞作曲を手掛けました。

小説を音楽にするという新しい試みであるユニット「YOASOBI」としてのデビュー曲で、星野舞夜さんの小説『タナトスの誘惑』を原作として作詞・作曲された「夜に駆ける」。2019年11月にAyaseさんのYouTubeチャンネルで公開されたミュージックビデオは7ヶ月で2000万回再生を記録しました。

元々Ayaseさんがボーカロイドプロデューサーとして人気があったこともあり、中高生を中心に動画SNS「TikTok」から瞬く間に話題になりました。

2020年にはYOASOBIがこの「夜に駆ける」でNHK紅白歌合戦に初出場するなど、デビュー曲でありながらYOASOBIの代表曲となっています

では早速歌詞の考察を始めていきましょう!

夜に駆ける 歌詞考察!

飛び降り自殺を図る二人

沈むように溶けてゆくように
二人だけの空が広がる夜に

小説『タナトスの誘惑』は彼女からたった一言「さよなら」と主人公の男性にLINEが送られ、彼女がマンションの屋上から飛び降り自殺を図るという衝撃的なシーンで始まります。

タナトスはギリシア神話では死神を表し、小説では死に対する欲動と説明されていますが、彼女はそのタナトスに支配されています。

この世界観を歌った「夜に駆ける」は「自殺」や「死」がテーマです。

冒頭の歌詞も主人公が見た自殺を図る彼女の姿を歌っています。YouTube上に公開されているミュージックビデオを見ると、この冒頭の時点で彼女が飛び降りるところが描かれています。

まるで世界に二人だけしかいないような妖しい夜の情景が浮かんできますね。

「さよなら」だけだった
その一言で全てが分かった
日が沈み出した空と君の姿
フェンス越しに重なっていた
初めて会った日から
僕の心の全てを奪った
どこか儚い空気を纏う君は
寂しい目をしてたんだ

この部分で特筆すべき点は、歌詞が必ず「あ段」で終わっていることです。この部分の前半は主人公から見た彼女の姿で現在のことと捉えることもできますが、後半は明らかに回想に入っています。

しかし場面が転換されているにも関わらず、全て同じ脚韻で構成されているこの部分の歌詞は、一塊と考えることもできます。

この部分を一塊と考えるのであれば、後半部分が回想で過去のことを言っているため、前半部分も過去のこととして考えられます。

前半部分も過去のことであるとすると、既に死を決意した段階での主人公の回想、もしくは走馬灯としても捉えることができます。

そうすると曲全体が主人公の回想になり、単純に主人公の目線から見た物語以上に深く考えることができますね。

原作である『タナトスの誘惑』でははっきりと描かれていましたが、二人の出会いは彼女の飛び降り自殺を主人公が止めたことでした。

主人公はどこか儚げな表情をしている彼女に一目惚れし、仲良くなっていきます。

この出会いを敢えて飛び降り自殺のシーンから転換させたことが、この曲全体が回想とも取れることを示唆しています。

彼女と生きて幸せになりたい

いつだってチックタックと
鳴る世界で何度だってさ
触れる心無い言葉うるさい声に
涙が零れそうでも
ありきたりな喜びきっと二人なら見つけられる

「いつだってチックタックと鳴る世界」は時計が動く様子、転じて「」を表現していると思われます。

小説では主人公はブラック企業に勤めており、自分も普段かけられるような「心無い言葉」「うるさい声」から逃げるために彼女が死を選ぼうとしていると自己解釈しているようです。

この時点での主人公は辛い思いをしていても二人でいれば生きていける、と前向きに考えているような印象を受けます。

騒がしい日々に笑えない君に
思い付く限り眩しい明日を
明けない夜に落ちてゆく前に
僕の手を掴んでほら

主人公は彼女が世間から浴びせられる批判の声で辛い思いをしていると解釈しているため、なんとか自分が一緒にいることで彼女の死を止めようと手を差し伸べます。

なんとか二人で生きていきたいという思いが伝わってくる部分ですね。

忘れてしまいたくて閉じ込めた日々も
抱きしめた温もりで溶かすから
怖くないよいつか日が昇るまで
二人でいよう

辛い思いをしても自分が一緒にいることで幸せにしたい。絶対に彼女に死んで欲しくない。そんな感情が描かれています。

辛いことがあっても二人なら明るい未来に向かって生きていける、という普通ならとてもロマンチックな言葉です。プロポーズとも取れます。

しかしこの主人公の考えは彼女の考えとは全く違います。まだ主人公は彼女の気持ちを理解できていないのです。

死神を見つめる顔に嫉妬

君にしか見えない
何かを見つめる君が嫌いだ
見惚れているかのような恋するような
そんな顔が嫌いだ

「君にしか見えない何か」は小説で言うと死神のことです。

2番ではこの死神を見つめるとき彼女は恋をしているような表情をしており、主人公が死神に嫉妬している様子が描かれています。

この時点でも主人公はまだ死に魅了されている彼女を理解できていません。

信じていたいけど信じれないこと
そんなのどうしたってきっと
これからだっていくつもあって
そのたんび怒って泣いていくの
それでもきっといつかはきっと僕らはきっと
分かり合えるさ信じてるよ

これからどんな困難が待っていても、どれだけ怒って泣いてもいつか分かり合える。そう信じている主人公の前向きな気持ちが表現されています。

「僕らはきっと分かり合えるさ信じてるよ」と語りかけている主人公。彼女の気持ちを理解できていませんが、理解できていないということは自覚しているようです。

もう嫌だって疲れたんだって
がむしゃらに差し伸べた僕の手を振り払う君
もう嫌だって疲れたよなんて
本当は僕も言いたいんだ

何度も彼女の死を引き止め、それでも死神を見つめて恍惚とする彼女の顔を見てきた主人公。

痺れを切らして彼女に「自分を見て欲しい」と手を伸ばしますが、その手は振り払われてしまいます。

死神に強く嫉妬する主人公の感情がストレートに表れている部分ですね。

ほらまたチックタックと
鳴る世界で何度だってさ
君の為に用意した言葉どれも届かない
「終わりにしたい」だなんてさ
釣られて言葉にした時
君は初めて笑った

何度も何度も彼女に対して「一緒に生きていきたい」「自分を見て欲しい」と伝えた主人公ですが、その言葉はどれも彼女には届きません。

「終わりにしたい」という主人公の言葉は、「自分も死にたい」という意味です。

死にたいと言い続ける彼女に釣られ、思わず自分も死にたいと言葉にしてしまった主人公ですが、その言葉を聞いた彼女はニッコリと笑っていました。

彼女は主人公に引き止めて貰って生きたいのではなく、主人公と一緒に死にたかったのです。

思わず口にした言葉で、主人公は始めて彼女の気持ちを理解します。

騒がしい日々に笑えなくなっていた
僕の目に映る君は綺麗だ
明けない夜に溢れた涙も
君の笑顔に溶けていく

1番では「笑えない君」と彼女が笑えないことが表現されていましたが、2番では主人公が笑えなくなっています。

ブラック企業に勤めていて、独り身で寂しく、唯一の癒しである彼女の気持ちも理解できない。

そんな主人公の涙は彼女の笑顔を見てスッと消えていきます。

主人公は彼女が喜ぶ顔を見たかっただけなのでしょうか。今まで感じていた辛さや苦しみが彼女の笑顔で全て無くなっており、笑顔の彼女を始めて「綺麗だ」と表現しています。

笑顔の彼女に魅了された主人公は、死神に魅了されている彼女と重なるものがあります。

変わらない日々に泣いていた僕を
君は優しく終わりへと誘う
沈むように溶けてゆくように
染み付いた霧が晴れる

ここで曲は転調し、主人公の考えと行動が全て変わったことを表現します。

今まで彼女を理解できず苦しんでいた主人公でしたが、「一緒に死んで欲しい」という彼女の願望を理解した瞬間にその苦しみが消え去ります。

主人公を死に誘う彼女を見て、主人公は彼女と一緒に死ぬことを決意します。

忘れてしまいたくて閉じ込めた日々に
差し伸べてくれた君の手を取る
涼しい風が空を泳ぐように今吹き抜けていく
繋いだ手を離さないでよ
二人今、夜に駆け出していく

今までの日々を「忘れてしまいたくて閉じ込めた日々」と表現し、彼女が差し伸べた手を「差し伸べてくれた」と表現しており、主人公が完全に彼女、もしくは彼女との死に魅了されてしまっていることがわかります。

主人公にとっての死神は彼女だったのです。

主人公が彼女の気持ちを理解し、通じ合うことができた二人は望んで身を投げ出します。

さいごに

最後には二人で手を繋いで飛び降りてしまいますが、これを「夜に駆け出していく」と表現しており、二人にとって死はポジティブなことであることが伺えます。

「夜に駆ける」は歌詞の意味や小説を踏まえると「飛び降り自殺」と変換できるのですが、決して曲中で死をネガティブなことに捉えていません。

主人公の目線では曲の前半部分で彼女の死を止めようとしていますが、その主人公も最終的に彼女と一緒に飛び降りており、妖しい雰囲気に呑まれて死んでしまう神話のような雰囲気を纏いつつ、死を肯定しているような印象を受けます。

若い世代の自殺が数多く起こっている現代の日本ですが、中には「1番楽しいときのまま死にたい」とポジティブな理由で自殺に至った例もあります。

もちろん死んでしまうことが一概に良いことであるとは言えませんが、頭からその価値観を否定するのではなく、一考の余地を与えるような曲でもあります。

「夜に駆ける」では最終的に登場人物が二人とも飛び降りてしまいますが、曲の前半で主人公が彼女に対して思っていたような「辛い現実から逃げるための自殺」ではなく、二人が通じ合って「望んだ自殺」として描かれています。

つまり二人にとってはハッピーエンドであり、死というものを考えさせられる、深い意味のこもった作品になっています。

原作に小説があるYOASOBIの作品。小説を読んで聞くとよりその世界観が鮮明に浮かび、考えさせられる曲になっています。

メッセージが詰まったYOASOBIの曲に今後も期待しましょう!