2019年に公開された漫画家・五十嵐大介原作のアニメーション映画『海獣の子供』。
その主題歌を手がけたのは原作のファンだという米津玄師。
今回は映画のストーリーとリンクするこの「海の幽霊」の歌詞を徹底考察します。
アニメ映画『海獣の子供』のストーリー
『海獣の子供』は生命誕生のストーリーを圧倒的な映像美でアニメ映画化した2019年の伝説のアニメです。
作画が美しくアート作品のような謎が煌めく本作。
このようにストーリーを言葉にすることはできます。
でもこのストーリーを言葉で考えようとすると、だんだんわからなくなってきます。
この映画は言葉で語られるものではなく、圧倒的に絵で語られるものだからです。
不思議な少年ふたりとであった琉花は、ふたりとともに海を泳いだりします。
その海の中ではザトウクジラが泳ぎ、宇宙の星々が煌めきます。
やがて海の兄、空は消えてしまいます。
でも琉花と海はふたりで生命誕生の場所へと導かれていきます。
この不思議な物語の主題歌を圧倒的な歌唱で彩るのが米津玄師です。
「海の幽霊」の歌詞はこの映画のように謎だらけです。
映画主題歌「海の幽霊」の歌詞を解釈
夏の思い出
部屋の中には誰もおらず、潮風の匂いがしみついた椅子がひとつあります。
この椅子は彼が座っていた椅子です。
その彼とは、物語の中で登場する海です。
海は魚たちと一緒に泳ぐことができる不思議な存在。
だから彼が座っていた椅子には潮風の匂いが染み付いています。
物語の中で海はあらわれたり、消えたりします。
だからこの物語の主人公である琉花は、あなたが迷わないようにいつも部屋を開け放っています。
この海に近い街で、いくつかの歌が囁いています。
ここで花を散らしてとあります。この花とはなんでしょうか?
あなたがどこかで笑う声が聞こえます。
時間と記憶がねじれたら、その”瞼が”開きます。
女性は花に喩えられます。だからいつか年を重ねて”花が散る”とも言われます。
この物語は主人公・琉花の物語であると同時に、作中で登場する年老いたお婆さんの物語でもあります。すべての女性の物語でもあります。
だから時が”ねじれた”道、つまり記憶を進んでいったら、過去が現実のように蘇ります。そこではあなたが笑っていて、その頬に触ると熱い手触りがします。
初めて一緒の時間を過ごした夜。そういう最初の時間の記憶が蘇るのです。
言葉にならないもの
今、この瞬間。
愛しあうふたりは同じ時間を過ごしています。
でもその愛しあったふたりは、ずっと一緒にいられるでしょうか?
運命は様々です。
でもだからこそ、離れ離れでもときめくものがあります。
そして大切なことは言葉ではありません。
なぜ空は消えたのか? そして本番とは何か?
海の兄である空は物語の途中で消えます。琉花の相手として相応しかったのは海だった。
だから物語の最後、海と琉花が海の中へと導かれていくのだと考えました。
そして物語の中で”本番”という現象が起きます。
それは海や宇宙と琉花との交わりのようでもあります。
生命誕生の神秘が圧倒的な映像美で描かれます。
星が降る夜にあなたにあえた。それは琉花だけではありません。
そしてあのときを忘れないと思っているのも琉花だけではありません。
いつか愛する人と出会えたすべての女性が思いをこめて愛する相手と交わります。
それは言葉ではない。
あの夏の日におきたすべて。
生命誕生の秘密です。
そういう生きていて最も素晴らしいことが、圧倒的な映像美で描かれるのが『海獣の子供』です。そしてその意味を深く米津玄師は歌っています。
夏に出会ったふたり。
その愛はどうなったのでしょうか?
米津玄師は希望をこめて「風薫る砂浜で また会いましょう」と歌います。
それは生命の神秘に触れた女性の思いではないでしょうか?
めぐりめくもの
春は出会いと別れの季節と言います。では夏はどうでしょうか?
人生を春夏秋冬に喩えると、夏には愛しあうふたりが結ばれるイメージがあります。
この映画『怪獣の子供』で描かれているのは、そんな愛しあうふたりの夏の世界です。
もちろんその愛が成就するのかどうかはわかりません。
でもそういう若いふたりの青春がえがかれていると思います。
米津玄師はこの「海の幽霊」で、浜辺で出会ったふたりの物語を歌っているのだと思います。
そしてそれが生命誕生の秘密でもあるのです。
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さいごに
いかがでしたか?
米津さんの曲に込めた思いが伝わってきましたね。
これからの活動からも目が離せません!
物語は14歳の少女・琉花が部活でチームメイトと問題を起こし自分の居場所を失うシーンからはじまります。
長い夏休みをどう過ごせばいいのか。
母親とも距離をおいていた彼女は、父親が働いている水族館へ足を運びます。
そこで、魚たちと一緒に泳ぐことができる海と、その兄・空と出会った彼女は、不思議な夏を経験します。