女優&歌手・三浦透子(みうら とうこ)さんの「通過点」(2021年9月:配信リリース)は、野村宗弘さんの漫画「うきわ」原作、門脇麦さん主演のドラマ「うきわ-友達以上、不倫未満-」(2021年8月~)のエンディングテーマとして書き下ろされました。
メロウなサウンドとボーカルに彩られた「笑い話にしたい通過点」とはどういう意味なのでしょうか。
シンガーソングライターのYeYe(ィエィエ)さんが作詞・作曲、元PAELLAS(パエリアズ)のボーカル・MATTON(マットン)さん率いる4人組バンドPEARL CENTER(パールセンター)のトラックメイカー・TiMT(ティムト)さんが編曲した「通過点」の歌詞について考察します。
ドラマ「うきわ-友達以上、不倫未満-」の概要
夫・中山拓也(大東駿介さん)の転勤に伴い、広島から東京に引っ越した妻・麻衣子(門脇麦さん)が主人公。
社宅の隣室には夫の上司・二葉一(森山直太朗さん)と妻・聖(西田尚美さん)が住んでいます。
麻衣子の夫・たっくんは、大学時代に所属していたラグビー部でマネージャーだった後輩・福田歩(蓮佛美沙子さん)と転勤先で再会し、不倫。
二葉の妻・聖(せい)は、陶芸教室の講師・田宮悠(SixTONESの田中樹さん)と不倫しています。
浮気サレ妻の麻衣子とサレ夫の二葉が、隣り合う社宅のベランダで壁越しに「友達以上、不倫未満」の関係を繰り広げる物語です。

通過点 歌詞考察!
何の「通過点」が描かれているの?

ドラマの主人公・麻衣子の心情が描かれています。
晩ご飯の支度をすませ、残業中の夫・たっくんの帰りを待っているときは、時間が止まった(凪の)ように感じられるもの。
陶芸教室に通う妻・聖の帰りを待つ二葉は、煙草を吸うためベランダに出ます。
パートナーの浮気を脇に置き(横目に)、ベランダで話すようになるサレ妻とサレ夫。
それぞれマンションの壁にもたれ、隣り合って座りますが、「緊急時には、この壁を突きやぶって隣りへお逃げ下さい」と書かれた非常壁が「横目に」あるので顔も見えず、物理的に寄り添うことはありません。
それでも相談するうちに麻衣子の心は、海で溺れたときに救ってくれる「うきわ」みたいな二葉へと傾きます。
言葉に出すのが下手な麻衣子の心の中にあるのが、うるさいほどの恋心(うるさく~その声)。
心の声に従い、精神的に二葉に寄りかかる(もたれる)ことで、「凪」のように穏やかな気持ちになることが伝わってきます。

「外灯」がわざと照らしたわけではないとわかりつつ、たっくんが帰ってくる姿がベランダから見えて、我に返ったのでしょう。
「夫の帰宅に合わせて、入浴の準備をする妻」が「現実」です。

たっくんがしているのは物理的な浮気で、麻衣子がしているのは精神的な「うきわ」。
「友達以上、不倫未満」の「うきわ」状態は人生の「通過点」にすぎないので、「笑い話」として済ませよう、という話です。
サレ妻がどれほど大変だとしても、相談相手に恋心を抱くのも「自己都合」なので、押し通すことはせずに終わらせようとしています。
それでも「通過点」に没頭する理由

ドラマの原作漫画「うきわ」は完結しましたが、2021年5月に「週刊ビッグコミックスピリッツ」にて、続編「うきわ、と風鈴」の連載が始まりました。
つまり物語そのものは現在進行形の状態で、ドラマの結末もネタバレになるので歌詞では描けないでしょう。
こじれた夫婦関係がどうなるのか、気になるところですが、いつか何らかのかたちで終わりがくることは忘れて、「通過点」である「友達以上、不倫未満」の「うきわ」状態に没頭しよう、ということかもしれません。

「数分」という点に着目すると、4分弱の「通過点」という楽曲を表しているのではないか、と考えられます。
現実的に考えると、不倫や浮気はダメです。
それでも漫画やドラマ、歌詞として描かれるフィクションであれば、自由に想像力を働かせることができるので、決まりきった「答え」はありません。
「蛍の光」といえば卒業式ソング、閉店BGMとしても親しまれている唱歌です。
道ならぬ恋は一生添い遂げるものではなく、どのようなかたちであれ終わるとわかっているからこそ、サレ妻とサレ夫ならではの距離感が生まれたのでしょう。
あるいは二葉がベランダで吸う煙草の火が「蛍の光」。
二葉が煙草を吸うことで、2人はベランダで話すようになりました。
「通過点」という楽曲では、浮気されたと嘆くことはせず、「友達以上、不倫未満」の関係が終わると悲しむこともしません。
笑い飛ばすことで、傷ついた心はいつか癒されるでしょう。

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さいごに
イラストレーターの佐藤薫さんによるジャケットイラストが、MVでは微妙に動いているところも「通過点」らしいですね。
さて、三浦透子さんの代表曲といえば、新海誠監督のアニメ映画「天気の子」(2019年7月)の主題歌、RADWIMPSの「グランドエスケープ (Movie edit) feat.三浦透子」と「祝祭 (Movie edit) feat.三浦透子」。
さらにカンヌ映画祭で脚本賞など4冠を受賞した、村上春樹さん原作、濱口竜介さん監督・脚本、西島秀俊さん主演の映画「ドライブ・マイ・カー」(2021年8月)での好演など、女優業も話題です。
これからも目が離せませんね。