今回の『卒業』という曲は2016年10月に発売されたアルバム『woman’s』に収録された中の1曲。
My Hair is Badらしい等身大の想いが綴られた歌詞で、切ない別れをリアルに描かれています。
リアルな男の女々しさだったり、妄想なども含めて妙に共感を得られる『卒業』というこの楽曲について詳しく考察してきたいと思います。
卒業 歌詞考察
恋人だった時の思い出
人気の多い場所では二人になれなくて、手を繋ぎたかったけど素直になれません。
しかし、電車から反対側へ降りる時には手を繋いでいました。
「繋いでいたんだ」という表現から、無意識に繋いていて恋人である二人はお互いに同じことを思っていたようです。
「してあげること」が無いことが辛いようです。
思いついたのは腕枕くらい。
頑張って君のためにしてあげたこともあったけど、君は悪気もなく気付いてはくれません。
君が僕をわかってくれない事も僕が君をわかってあげられない事も辛い。
僕は余裕がないほど君に対して無理をしてしまっています。
「僕は君のなんだった」というセリフからどうやら別れが迫っている、もしくは別れてしまったのでしょうか。
冬になれば一年経つようですが、何気ない日常を切り取って思い出します。
愛する事も愛される事もこれまでわからなかったけど、僕の身勝手な考えだったと気付いたようです。
せめて友達に戻りたい。
だからさよならは言ってほしくない。
どこか「僕」の女々しさが感じられます。
「私」目線
ここから女性口調になります。
「君」としてのセリフというよりかは「僕」が願う「君」の思いともとれます。
寂しい事に気付いた「私」は、別れを後悔します。
真っ赤な爪の色も「僕」が好きだった色なのかもしれません。
おはようやおやすみ、何気ない会話が出来ないこと。
愚痴を聞いてほしくても、美味しいお店を見つけても誰に言ったらいいのかわかりません。
結局、独り言で終わってしまいます。
今度は部屋での出来事を綴られています。
洗濯物もテレビ番組も一人と二人とでは全然違うものだと気づきます。
冬の季節になると特に思い出されます。
それは楽しい思い出だけでなく、悲しかった時の事も忘れたくはありません。
別れに対してありがとうと言われてしまうと、もう恋人に戻れません。
もう一度恋人に戻りたいと願います。
後悔
ここでまた「僕」目線となります。
君より可愛い子も僕より優しい人も沢山いるし、君の心が嫌だった事もある。
だから僕の心が痛かった事など嫌な思い出を思い返してもそれでもやっぱり君が好きだったという深い後悔をあえて逆説を唱えて現します。
どんなに間違っても恋や愛をやめないでしょう。
だから別れの時には、さよならだけを伝える事が正解だとわかっています。
さよならを言わないと次の恋愛が出来ないのに、なぜかありがとうと言ってしまいます。
ありがとうと言わないと二人の時間が意味のなかった事のように感じられるのが許せません。
それは子供じみているといえます。
だから大人にならなければなりません。
でもその違和感は拭えず「大人ってなんだ」と否定します。
二人からの卒業
歌いだしと同じ「渋谷駅前」という歌詞が出てきます。
今は一人なのにどうしても一人に「なれない」とあります。
それは「慣れない」のか「為れない」のかどちらにも当てはめられます。
一人である事から、人が抱き合ったりすることにも少し敏感に反応してしまっているようです。
途中の歌詞でもうすぐ冬になる頃、何気ない日常を切り取って思い出していましたが、「春」という冬の季節が過ぎ、新しい季節になった事で時間の経過を表します。
やっと気持ちに整理がついたのかもしれません。
電車にすぐに座れたのは「一人」だからでしょう。
反対の駅にもしかすると「恋人」だった人がいるのかもしれません。
これまで女々しささえも感じられましたが、やっとここで初めてタイトルである「卒業」をする事が出来たようです。
それは「君」や「私」や「僕」からではなく、「二人からの卒業」と二人から一人になれたという表現で締めくくられます。
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さいごに
My Hair is Badらしい、強がるわけでもなくカッコつけるわけでもない、あくまで等身大の「僕」を表現されているこの「卒業」という楽曲。
男の後悔や女性にはこのように思っていてほしいなどの妄想がリアル綴られています。
でも最後には何とかそんな二人から一人になれます。
いわば「卒業」をする事が出来ましたが、その過程を曲に乗せてボーカル椎木知仁が妙にリアルで説得力のある歌声で伝えられます。
My Hair is Badのカッコつけない、どこか女々しさも感じられるリアルな表現は、失恋をした人の心の隙間を埋めてくれる大切な一曲になるのではないでしょうか。