ミスチルことMr.Childrenの「しるし」は2006年11月にリリースされた29thシングル。
2007年3月にリリースされた13thアルバム「HOME」や、2012年5月にリリースされたベストアルバム「Mr.Children 2005-2010 <macro>」などにも収録されています。
志田未来さんと三浦春馬さんが、子どもを授かる中学生の恋人同士を演じた社会派ドラマ「14才の母」の主題歌として起用されました。
ボーカル&ギターの桜井和寿さんが作詞・作曲したラブバラード「しるし」の歌詞の意味を考察します。
しるし 歌詞考察
さまざまな解釈が出来る歌詞
「しるし」はドラマ「14才の母」の物語に寄り添いつつ、独自の歌物語として幅広く受け取ることもできる歌詞になっています。
登場人物は「僕と君」なので、基本的には「男性目線のラブソング」でしょう。
ただし桜井和寿さん自身、「幸せな2人」と「別れた2人」のどちらでも解釈できるラブソングだと公言されています。
つまり歌詞冒頭の「こうなる」という結末をどのように設定するかによって、それぞれ「違うテンポ」の物語が進行していく仕掛けです。
ドラマでは志田未来さん演じる中学2年生の女子(以下、母親)が主人公で、三浦春馬さん演じる中学3年生の男子(以下、父親)と付き合って妊娠します。
対する歌物語の主人公が父親だとすると、母親と離れた時期があり、そのときに「違う~鼓動」つまり「お腹の中の赤ちゃん」のことをそれぞれ考えていた、という内容。
父親が母親に向けて手紙を書くという設定で、桜井和寿さんが論理的に作詞しても、頭の中は混乱するばかりだった、とも解釈できるかもしれません。
「いろいろな角度、半信半疑、予防線」といった歌詞はドラマの物語、とくに母親の行動や心理を想起させるキーワードです。
母親は中絶を検討しながらも出産を決意したり、父親との別れや退学、家出を考えたり、さまざまな葛藤を経験します。
そうした様子を見て、父親は愛情深く成長するという流れです。
ただ、主題歌であってもドラマの結末まで明かすわけにはいきませんし、Mr.Childrenの楽曲として独自の世界観を示す(予防線を張る)必要もあります。
ドラマの物語から離れても、さまざまに解釈できる「絶妙なニュアンス」の歌詞になっているのではないでしょうか。
普遍的な愛が描かれている
ドラマの物語を連想しやすい「軽はずみ」という歌詞も出てきますが、ドラマの物語から離れた「普遍的な愛」として解釈することもできます。
似たような顔だから魅かれ合ったのか、付き合いが長いから表情や顔付きが似てきたのか、とからかわれるほど仲がいい恋人同士や夫婦も多いでしょう。
付き合うきっかけは「軽はずみ」と思えるほどたわいない出会いだったとしても、そのときの自分を褒めたくなるくらい真剣な愛に発展するケースもあります。
その場合、最初は軽い気持ちだったことを相手には知られないほうがいいかもしれません。
男性は女性宛ての手紙を頭の中で想像しながらも、実際に出すつもりはないようです。
結局2人は幸せに暮らしているのか、それとも別れてしまったのか、あいまいに描かれていて、どちらの解釈も当てはまる部分です。
男性は、内面も表情も行動も多彩な女性のことばかり考えて「苦しくなるほど愛おしい」と感じているのでしょうか。
それとも相手を思いやりつつ、お互い「内緒にしている本心や出来事がある」と実際にはわかっているので、男性は辛いという意味かもしれません。
まったく逆の解釈ですが、両方とも成立します。
「しるし」を聴くリスナーそれぞれの思い出を重ねることも可能です。
このように「いろんな顔」は多様な解釈が成り立つという意味にも受け取れます。
「しるし」の意味
タイトルでもある「しるし」にもさまざまな意味を重ねることができるでしょう。
ドラマの物語に寄り添うと「赤ちゃん、夫婦関係、結婚、絆、軌跡、思い出、記録、手記」などが当てはまります。
桜井和寿さんが作詞するにあたり、心の中に秘めた思いを手紙のように記したとすると、「ドラマ主題歌(君)とMr.Childrenらしい楽曲(僕)の関係性」とも解釈できるでしょう。
「リスナー(君)とMr.Children(僕)の約束」と考えることも可能です。
「共に生きれない、記憶」という歌詞は別れを表しているようですが、「愛してしまう」と挟まることによって、幸せな結末を迎えた可能性も捨てきれません。
あらゆる角度から解釈できる歌詞であれば、主題歌として流れるドラマの放送期間が過ぎても、幅広く愛されるMr.Childrenらしい楽曲になります。
自由に解釈できるところが興味深い「しるし」でした。
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さいごに
Mr.Childrenらしい美学といえば、「しるし」と読むことができる「記」という漢字が「記入、記念日、記憶」という歌詞で散りばめられている点も見逃せません。
また「しるし」がドラマ「14才の母」で三浦春馬さんが演じた父親目線になっている点を掘り下げると、「生きた証」という新たな意味が加わるかもしれませんね。