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栞【Hakubi】歌詞の意味を考察!映画「浜の朝日の嘘つきどもと」主題歌

京都発のスリーピースバンドHakubi(ハクビ)の「」(しおり)は、高畑充希さん主演の映画「浜の朝日の嘘つきどもと」(2021年8月・9月公開)の主題歌として書き下ろされました。

2021年8月に先行配信され、同年9月リリースのメジャーデビューアルバム「era」に収録されています。

映画と同じく、タナダユキさんが監督・脚本を務めた同名ドラマ(2020年10月放送)の主題歌「アカツキ」に続く起用です。

映画はドラマの前日譚(ドラマは映画のアフターストーリー)になっていますが、歌詞には映画の内容がどのように反映されているのでしょうか。

ボーカル&ギターの片桐さんが作詞、Hakubiが作曲した「」の歌詞について考察します。

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栞 歌詞考察!

誰が話しているの?

誰かが言ってた 悲しみの分だけ幸せがあると
たまにさ思い出すんだ 「そんなの嘘だ」と笑う声を

「栞」は、映画と切り離して歌詞独自の物語と捉えても成立していますが、むしろ映画のテーマやモチーフが色濃く反映された歌詞になっているので、その点に注目してみましょう。

「浜の朝日の嘘つきどもと」は、福島県南相馬市(太平洋に面した「浜」)に実在する映画館「朝日座」を舞台とした物語です。

ドラマでは、東日本大震災(2011年3月)、東日本台風(2019年10月)、コロナ禍(2020年~)という困難に打ちひしがれた映画監督・川島健二(竹原ピストルさん)と、「朝日座」のもぎり嬢・茂木莉子(高畑充希さん)が主役でした。

映画では、「朝日座」の支配人・森田保造(落語家・柳家喬太郎さん)が閉館を決意。

茂木莉子(もぎ りこ)こと本名・浜野あさひが、高校時代の恩師・田中茉莉子(大久保佳代子さん)との約束を果たすべく、映画館を再建するために奮闘します。

こうした背景を踏まえると、名前すら「嘘」の茂木莉子こと浜野あさひ(以下、あさひ)が歌詞でも主人公で、「悲しみ」は東日本大震災などの困難を表しているとわかるでしょう。

「世界は広くてまだ見えない
諦めてしまうには早いんじゃない
他人に言われたことは半分くらいで
少しダサいくらいがちょうどいい」

主人公のあさひが思い出しているのは、恩師・田中茉莉子(以下、茉莉子先生)の笑い声や言葉。

つまり、かっこでくくられた会話文で話しているのは茉莉子(まりこ)先生です。

もちろん映画のセリフそのままではなく、茉莉子先生があさひに話した内容が反映された歌詞になっています。

映画は、家族・血縁関係・病気・過疎・不況などの重いテーマを扱いながら、和製「ニュー・シネマ・パラダイス」ともいえるほど映画愛にあふれた、笑いあり、涙ありの軽やかなハートウォーミング作品です。

あさひの背中をそっと押しつつ、自分で考えることの大切さも示したうえで、コミカルにおどけてみせるところに茉莉子先生らしい優しさを感じます。

「世界」という言葉から、ベトナム人の技能実習生で茉莉子先生の恋人チャン・グオック・バオ(佐野弘樹さん)も連想できるでしょう。

数えきれない光をくれたあなたに
私は今何を返せるのだろう
ただまっすぐ歩みを止めずに進めているのは
変わらないあなたがいたから

暗い闇に膝を抱えた私の
この目をただ信じ続けてくれた
瞳を閉じれば浮かぶ微笑みのその理由に
なれますように届くように

あさひ(私)は茉莉子先生(あなた)との交流によって、映画(光と闇)が好きになり、心が満たされること(光)を学びます。

「映画館を立て直してほしい」という茉莉子先生の願いがあったから、諦めずに何度でもやり直せるようになりました。

そんな希望(光)をくれた茉莉子先生に恩返しをしたいと考えています。

「映画は、光と闇の連続。コマで区切られたフィルムに、映写機で光を透過させ、スクリーンに映し出す仕組み。残像効果によって、光がつながっているように見える」といった趣旨の茉莉子先生の話は、人生の光と闇(笑いと涙)にもつながるでしょう。

タイトル「栞」の意味

「世界は広くてまだ見えない
上手くいかないことも増えていって
その時また立ち止まってしまっても
変わらないで そのままでいて」

あなたと同じ大人になって
少しだけわかったような気がした
あの頃より上手く話せるようになったし
見せたかった景色がたくさんある

茉莉子先生のメッセージを胸に抱き、成長したあさひ。

そういえば映画にまつわる物語なのに、「栞」というタイトルがつけられたのはなぜだろうと疑問に思った人もいるでしょう。

「栞」といえば「本に挟む目印」ですが、「枝折」(しおり)という当て字もあり、山道などを歩くとき、帰路で迷わないように木の枝を折って目印にしたことが由来です。

あさひにとって茉莉子先生という存在やその言葉は迷わないための目印であり、道しるべ(道標)

まるで本のページに挟むみたいに、茉莉子先生の言葉が歌詞に挟み込まれているとも考えられるでしょう。

数えきれない光をくれたあなたに
この両手で何が返せるのだろう
私が私で生きていくその先で
出会えた時 強くいられたら

明日はまた変わらず迫るけれど
ほんの少し優しくいれるように
瞳を閉じれば浮かぶ微笑みのその理由に
なれますように届くように

描かれているのは、あさひと茉莉子先生の深い絆です。

ただ「明日が迫る」という表現には、いつ困難が押し寄せるかもしれない不安が感じられます。

それでも映写機のシャッター羽根(セクター)が、フィルムのコマの区切り(闇)をさえぎるみたいに、目を閉じると微笑む茉莉子先生の残像が浮かぶのでしょう。

「茉莉子先生が笑う理由は、あさひが強く優しく前に進もうとしているから」となることが恩返し

こうした映画のストーリーも、映画の内容を反映させた歌詞も、まだ映画を観ていない人にまで刺さるのではないでしょうか。

これからもまた闇のような困難に遭遇したとしても、光のような希望を道しるべとして、前向きに生き続けたいものですね。

さいごに

高橋一生(たかはし かずき)監督による「栞」のMVでは、Hakubiのメンバー3人による演奏シーンと、空手の植草歩選手の出演シーンが交錯しています。

今回は映画の登場人物に照らし合わせて考察しましたが、スポーツや学校・仕事・日常生活など、あらゆる場面で大切な人との絆を思い浮かべ、前へ進む道しるべになる歌詞でしょう。