歌詞では切ない別れが描かれているのに、曲調は明るく、キャッチー!
そんなギャップが人気の「サヨナラバス」は、フォークデュオ・ゆずの3曲入り5thシングル(1999年3月)の表題曲です。
北川悠仁さんが作詞・作曲、元ジュンスカことJUN SKY WALKER(S)のベース・寺岡呼人(てらおか よひと)さんとゆずがプロデュースした「サヨナラバス」の歌詞の意味を考察します。
サヨナラバス 歌詞考察!
別れのカウントダウンが始まる
バス停まで彼女を送り届け、発車したバスを見送るという、別れの道のりが描かれた失恋ソングです。
彼女が乗る予定のバスは夕方6時発なので、必然的に別れのタイムリミットも同時刻。
夕日に染まる歩道を縦に並んで歩き、2人とも切ない気持ちになっている情景が目に浮かびます。
彼女は悲しみ、主人公は少々イラつき、八つ当たりしているようです。
振る側、振られる側という区別がはっきりしない、青春ゆえの別れでしょうか。
主人公はストレートに「好き」と愛情表現できなくなっていたようです。
不安になって悩む彼女も、本心とは裏腹な態度をとるようになり、修復不可能なほど関係がぎくしゃくしたのではないでしょうか。
あるいは進路や仕事に関する重大なことを相談できず、離れ離れになるしかないという結論に至った可能性も考えられます。
タイトルの「サヨナラバス」は「別れのバス」という意味でしょう。
運転手や他の乗客にとっては普段と変わらないバスのはずですが、主人公にとっては彼女を奪い去る「残酷な乗り物」と化しています。
だからといって公共の乗り物に運休をお願いしても、叶うわけがありません。
運休理由の「やむを得ない事情」に「個人的な別れ」は含まれないものです。
どうあがいても通常運行の現実を変えることはできず、理不尽な望みだとわかりつつ、それでもなお願わずにはいられない、もどかしさ。
「ネコバスかよ。来ないでは無理。別れるのに好きなんかい!」と三段ツッコミを入れたくなります。
切ない別れなのに、どこかユーモラスな雰囲気がただようのは、主人公の性格によるのかもしれません。
サヨナラバスは江ノ電バス?
主人公は結局「やっぱり君が好き」と思っただけで、口に出して言うことはありませんでした。
もしかしたら彼女はその言葉を待っていたのではないでしょうか。
ストレートに愛情表現してくれたら、彼女も素直になり、やり直すことができたのかもしれません。
最後に彼女は「やっぱりお互い素直じゃないね」と苦笑いしたようにも受け取れます。
せっかく「サヨナラバス」は運賃前払いで時間があったのに、実に惜しいです。
しかし、これが青春なのでしょう。
ちなみに、ゆず最後の8cmシングルのジャケット写真に使われているのは江ノ電バス(運賃前払い)、MVに登場しているのは東海バス(運賃後払い)です。
「ICカード払いではなく、現金払い」というところに時代の流れを感じますね。
自分でもわけがわからない妙な意地を張ってしまうのは、思春期の特徴です。
彼女が最後に振り向いたとき、「やっぱり君が好きだ」と言って、バスから引きずり降ろすこともできたはずですが、主人公はしませんでした。
ただ、最後の瞬間に素直になれるくらいなら、もっとまえに関係は改善され、別れ話には至らなかったでしょう。
どちらか一方が悪いわけでもなく、お互いに思い合いながらも、何となくうまくいかずに別れてしまったパターンのようです。
1番で彼女が泣いているときに主人公はスネて、2番で彼女が吹っ切って笑顔を見せた後に主人公は泣き始めました。
すべてタイミングがズレているというか、主人公は何もかも「遅い」ですね。
これが2人の相性なのか、精神的な成長速度の違いなのかはわかりません。
もっと早く泣いていれば、別れるのがどれほどつらいと感じているのか、きちんと伝わったかもしれないのに、と悔やまれます。
好きな女性には泣き顔を見せないのが、主人公の美学だった可能性もあるでしょう。
彼女と歩調は合いませんでしたが、それでも主人公はずっと自分らしく明るくふるまっていたのです。
すべて主人公(あるいはゆず)らしい性格の表れでした。
歌詞に反して、曲調が明るい理由も腑に落ちたのではないでしょうか。
もう彼女はいなくなってしまったので、思いっきり涙を流しましょう。
そしていつか笑い話にできるといいですね。
1ヶ月無料で音楽聴き放題!
通常880円/月のAmazonMusicUnlimitedが今なら1ヶ月で体験可能!
この機会に聴き放題サービスをお試ししてみよう!
いつでも解約OK!
さいごに
「サヨナラバス」は2ndアルバム「ゆずえん」(1999年10月)、ベストアルバム「Home [1997~2000]」(2005年6月)、「ゆずイロハ 1997-2017」(2017年4月)などにも収録されています。
「ゆずイロハ 1997-2017」ではback numberとのコラボ、寺岡呼人さん主催のイベント「Golden Circle Vol.18」(2013年11月)では寺岡呼人さん、桜井和寿さん(Mr.Children)とのコラボが披露されました。
テレビやラジオ番組ではいきものがかり、三浦大知さん、山崎育三郎さん、高橋優さんなどがコラボ、カバーしています。
いつまでも歌い継がれる人気曲ですね。