『SEKAI NO OWARI 2010-2019』に収録された『MAGIC』。
めざましテレビにも起用された一曲であり、ファンにも愛される楽曲のひとつです。
「天使」「ドラゴン」などの空想世界の言葉を歌詞に多様するセカオワ。
しかし『MAGIC』にはそのような歌詞が見られません。多数の名曲の中でもどこかリアリティに満ちた歌詞が印象的な楽曲なのです。
『MAGIC』は実はカバーソングです。
原曲はバンド・Hawaiian6(ハワイアンシックス)が2003年に発表した英文歌詞の楽曲です。そこにFukaseさんがオリジナルの歌詞を書きアレンジ。セカオワにとっては初のカバーソングなのです。
ぜひ原曲も聴いてみてください!
Fukaseはなんと『MAGIC』の歌詞を2分で制作したという逸話もあります。
自転車で原曲の『MAGIC』を口ずさんでいた時に、偶然にも初恋の相手を発見。声を掛けられたところ、なんと無視されてしまったのです。その際に歌詞を頭の中で書き上げたといいます。
その物悲しいエピソードによってできた『MAGIC』。
制作背景のエピソードとは少々異なり、生きる意味や死、愛することをテーマにぎゅっと詰め込んだ切ない一曲です。
一体どのような歌詞なのか、考察していきます!
『MAGIC』歌詞考察
唐突なラブレター
冒頭から、深い意味のこもったラブレターのような歌詞。
”君に出会うために生まれてきた”というメッセージが詰まった呼びかけのような歌詞です。
さて、どうして「僕」はそのように思っているのでしょうか?
生きることに価値はあるのか
「僕」は「君」を見るたびに胸がときめくと告白します。
歌詞通り、「君」は「僕」に対してクールで冷ややかな態度を取ります。照れて天邪鬼なのか、本当に冷めた心の持ち主なのか分かりませんが、とても可愛らしいカップルの一面のようにも感じます。
でも、ここで一番大事なのは「僕」が「自分に価値がないと思っていたんだ」と独白するところ。
生きる意味を見つけられなかった「僕」が、「君」に胸を高鳴らせる。
「僕」は「君」によって、既に生きる意味や価値を見出しているのです。
恋愛をしている人は、このような気持ちになることも多いのではないでしょうか?
生きる意味を見失っているのは
ここでは「僕」から「君」へ疑問が投げかけられます。
”なんで君は一人で生きていけるような顔するの?”と。
「君」のために何でもできると思っている「僕」に対し、ここでも冷ややかな「君」。
生きる意味を見つけられないのは「君」も同じなのかもしれません。
「君」が幸せになることを恐れ、生きる価値から逃れようとしているように思わざるを得ません。
「君」に笑って欲しい「僕」
「僕」の募る思いがとめどなくあふれているようなサビです。
どんなに頑張ってもそっけない「君」へのささやかな苛立ち、愛おしさにあふれている言葉ではないでしょうか。
それが少し届いたのか「君」は悲しそうに笑います。
一方で「たまに悲しそうに笑う」君は、一体何を悲しんでいるのでしょうか。
物悲しいプロポーズ
「4回目の冬」という言葉からは、かなり長い時間を「僕」と「君」は過ごしていることが分かります。
そして「僕」はプロポーズをします。
それなのに返ってきた言葉はとても悲惨なもの。「君」の天邪鬼さがとても分かる歌詞です。
再び「君」が幸せになるのを怖がっているような印象を受けます。
ちなみに「カフェミケランジェロ」とは実際に東京・代官山に存在するカフェ。
Fukaseが実際に初恋の相手とデートした場所だと言われています。とてもおしゃれです。
いずれは死んでしまうのに
家族になった「僕」と「君」。
二人の間には新しい命が生まれます。
しかし、ここで初めて「君」の本心が現れます。
「いずれは全て失うのに、どうして大切なモノが増えていくの?」
必ず別れや死は訪れるにもかかわらず、誕生してしまう命への問い、やり場のない悲しみ。生命への疑問に「君」はずっと悩まされていたように思います。
この歌詞は、どこかセカオワの楽曲全体に貫いている疑問のようにも思えます。
自ら「終わり」を迎えた君
「いずれは全て失うのに、どうして大切なモノが増えていくの?」
そんな疑問を持っていた「君」が、自ら死を選んでしまったのが推測される歌詞です。
「僕」の頑張りは報われることなく、散っていく運命に終わります。
「僕」はその現実を前に、言葉にできない悲しみを抱くことになります。
愛したことは誰にも奪われない
「僕がさ、こんなに頑張って生きてきたのに 本当に大切なモノさえ失ってしまうんだね」
これは「君」も抱いていた疑問でしょう。
「僕」と「君」は、”生きる意味と価値が分からない”という点でつながっていたのだと思います。
「僕」は「君」との出会いで生きる意味を見つけたけれど、「君」はその疑問に苛まれ続けてしまった。そんな悲しい運命で終わる二人の結末です。
でもそんなことよりも大事なのは、「僕」が「それでも人生は素晴らしい」と断言していることではないでしょうか?
大切な存在とお別れしてしまい奈落の底まで落ちたとしても、その人を愛した事実は誰にも奪えず、悲しみを凌駕する価値があるということ。
そんなメッセージが表現されているように思います。
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おわりに
いかがでしたか?
物語調で綴られる『MAGIC』。日常の中で「愛する」というのが本当のマジックなのかもしれません。
常に重厚で鋭い問いを投げかけてくるセカオワ。『MAGIC』の真意について考えてみてはいかがでしょうか。