今回は米津玄師さんの「感電」の歌詞を考察していきます!
2020年8月5日にリリースされた米津玄師5枚目のアルバム『STRAY SHEEP』に収録された楽曲「感電」。
この曲は2020年6月26日から9月4日まで放送されていたTBS系金曜ドラマ『MIU404』の主題歌として書き下ろされました。
『MIU404』の脚本を手掛けた野木亜紀子、プロデューサーの新井順子、監督の塚原あゆ子と『アンナチュラル』以来の再タッグを組んだことでも大きな話題を呼んだ本作の歌詞にはどのような意味が込められているのか。
早速考察していきましょう!
テレビドラマ『MIU404』の書き下ろし主題歌
「感電」の歌詞の意味を考察する上で、この曲がテレビドラマ『MIU404』の主題歌として書き下ろされた楽曲であるという要素は欠かせないでしょう。
米津玄師自らドラマのコンセプトと脚本を読み、自分が暮らしている境遇とドラマのストーリーに共通する部分を曲にしたと語っています。
『MIU404』は警視庁の“機動捜査隊”と呼ばれる部隊で、綾野剛が演じる「伊吹」と星野源が演じる「志摩」の2人がバディを組み、24時間のタイムリミットの中で犯人逮捕を目指す、1話完結型の刑事ドラマです。
事件の内容はあおり運転や虐待問題、日本における外国人労働問題など、現代の日本社会が抱える問題を背景に描かれ、視聴者からも高い評価を受けています。
そして「感電」は第105回ドラマアカデミー賞において「最優秀ドラマソング賞」を受賞しています。
感電 歌詞考察
楽曲タイトル「感電」について
米津玄師はなぜこの曲に「感電」というタイトルを付けたのでしょうか。
デジタル大辞泉によると感電とは「電流が身体に流れて衝撃を受けること。」とあります。
ドラマの中では、主人公の2人は街中で勃発する数々の事件に対し、24時間という限られた時間の中で、できる限りの対処をする警視庁の架空の臨時部隊に所属し、出動の際は常にスピード感を求められます。
つまり伊吹と志摩が織りなす稲妻のような疾走感と電撃のようなスリリングさ、そして互いに刺激しあいながら成長していく様子を比喩して「感電」と名付けたのではないでしょうか。
夜の街をパトロール
出動要請がなく、夜の街を彷徨うようにパトロールする刑事の様子が浮かびます。
刑事にとっては通報がなければ事件が見過ごされてしまうかもしれない可能性もあり、現場に駆け付けられないのは困りものです。
この歌いだしは童謡「犬のおまわりさん」のパロディだということは誰もが気が付いたことでしょう。
性格が全く異なる2人でも、心の底では信頼しあっている相棒のことを“兄弟”と呼んでいます。
ここでは事件を解決に導き、喜んでいる様子を表現しているのでしょうか。
正しいことが正義とは限らず、真実が明かされることがない捻じ曲がった世の中のことを揶揄しているようにも聞こえます。
己の道を突き進む
伊吹と志摩の生き様を物語るような疾走感のあるサビのフレーズ。
お互いを信頼している2人の手にかかれば、瞬く間に事件を解決に導きます。
誰もが一度は稲妻を見たことがあるとは思いますが、稲妻はまっすぐな直線を描くことはなく、くねくねと折れ曲がりながら地表に到達します。
これは稲妻は放電しやすいポイントを常に探しながら落下する性質があり、進行方向が変わり続けるため起こる現象です。
この性質は真実を追い求めて奔走する2人の姿にリンクします。
そしてそれぞれが自分の道を突き進み、人生を全うする強い意思が感じられます。
2番の歌い出しで再び「犬のおまわりさん」になぞらえた歌詞が登場します。
童謡では子猫はおまわりさんの相手役ですが、ここでは捜査が難航し、事件の迷宮入りを恐れて苛立っている刑事自身の心情を歌っています。
事件解決に欠かせない大事な証拠や情報を「財布」に例えて、なかなか見つからず、ついていないと嘆いています。
ぶつかり合いながらも目指す先は同じゴール
本気で向き合っている相棒だからこそ、本気でぶつかることだってあるでしょう。
どっちの意見が正論か、誰が正しいかなんてわかりやしなくても、それぞれの意見を出し合うことで解決への糸口が見えてくるかもしれません。
ここで出てくる「メロウなエンディング」とは何を指しているのでしょうか。
「メロウ」とは果物や酒などが熟していることを意味する言葉で、そこから転じてものごとが円熟した様子を表します。
つまり事件の大団円とストーリーのハッピーエンドを同時に示唆しているのだと思われます。
1番のサビでは「一瞬の人生を謳歌しよう」と歌っていましたが、それと対比して永遠の“きらめき”を追い求めるような生き方も人それぞれで、好きに生きたらいいというメッセージとして受け止めています。
「感電」歌詞の真骨頂!
Cメロのフレーズにこの楽曲の真骨頂が隠されています。
ここではドラマ主演の2人の作品に由来するワードが巧みに織り交ぜてられているのです。
「肺に睡蓮」は綾野剛主演の映画「シャニダールの花」の、肺に睡蓮の花が咲く奇妙な現象を歌詞にしています。
そして「遠くのサイレン」は星野源の楽曲「family song」の歌詞からで、しかも「肺に睡蓮」の韻を踏んでいるのです!
主演2人への敬意を歌詞で巧妙に表現する、米津玄師の真髄ともいえる類まれなセンスにシビれます!
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さいごに
いかがでしたか?
しっかりとドラマに寄り添いながらも、随所に言葉遊びが散りばめられていて、改めて米津玄師の偉大さを感じられたかと思います。
今後のドラマ主題歌にも期待ですね♪