ゆずの40thシングル「表裏一体」(2013年12月)の歌詞の意味を考察します。
冨樫義博さんの漫画が原作のアニメ映画「劇場版 HUNTER×HUNTER -The LAST MISSION-」(2013年12月)の主題歌、テレビアニメ「HUNTER×HUNTER」第99~134・135~146話(2013年10月~2014年9月)のエンディングテーマとして書き下ろされた楽曲。
ゆずの2人と前山田健一(ヒャダイン)さんが作詞・作曲・編曲・プロデュース、門脇大輔さんがストリングスアレンジを担当しました。
「H×H」のテーマ「光と闇」はどのように歌詞に反映されているのか、見ていきましょう。
「H×H」の概要
主人公の少年ゴン=フリークスが、生き別れた父ジンと同じハンターになり、親友のキルア=ゾルディックら仲間と共に父を探す旅に出る冒険活劇です。
映画「ラストミッション」の舞台は、戦いの祭典「バトルオリンピア」が開催される天空闘技場。
「ハンター協会」のネテロ会長への復讐をもくろむ、元「ハンター協会」の裏組織「影」の隊長ジェドと対峙する物語です。
表裏一体 歌詞考察!
光と闇は表裏一体
さわやかなゆずのイメージとかけ離れたシリアスな歌詞です。
「光と闇」という「H×H」のテーマに触発された内容で、タイトルの「表裏一体」と同じように、「朝と夜」や「白と黒」といった対義語が並んでいます。
「未来と過去」も対義語です。
本来なら交わることのない反対の概念が、らせん状にからまってつながる夢のようなアニメ「H×H」を見て、楽曲制作に「乗り出した」という話かもしれません。
既に「REASON」や「流れ星☆キラリ」でコラボしているとはいえ、そもそも「ゆずとH×H」や「ゆずと前山田健一さん」の組み合わせは異色です。
また「作詞家3人と主人公ゴン」の心情も「表裏一体」となって描かれていると考えられます。
「コイン」から連想できるのは、キルアの実家・ゾルディック家の執事ゴトーの「コインを弾丸以上の威力で連射できる能力」や「コインゲーム」。
さらに映画「ラストミッション」には、「光」の象徴ともいえる「ハンター協会」の裏組織「影」や、生命エネルギー「オーラ」を操る特殊能力「念能力」と対極にある「怨能力」(映画オリジナル)が出てきます。
こうした「善と悪」が混ざり合うようなストーリー展開を表しているでしょう。
真実を見極めようとしている
2番も「偶然と必然」や「つながると分かれる」など、ほとんど対義語で表現されています。
「ハンター協会」のネテロ会長と「影」のジェド、「念能力」と「怨能力」の戦いはどのような結末を迎えるのでしょうか。
ゴンと仲間たち、作詞家の3人、リスナーや観客、視聴者もドキドキしながら見守る場面です。
ジェドはネテロ会長に対する復讐を企てましたが、もともと「ハンター協会」のために暗躍していたという過去があります。
つまり根は同じということ。
これが「表裏一体」の真相です。
「君」はジェドにとってのネテロ会長かもしれませんし、ゴンにとっての生き別れた父や親友のキルア、キルアにとってのゴンなど、さまざまに解釈することができるでしょう。
「手を離さない」という表現を踏まえると、「キルアたち仲間との絆を大切にする」というゴンの強い決意が描かれていると考えられます。
「盛者必衰」とは鎌倉時代の軍記「平家物語」に出てくる言葉で、「栄えた者は必ず衰える」という意味です。
ゴンが「念能力」を使うときの「念」の色は赤というよりオレンジ。
限りある命をかけて、真実を見極めるために戦っていることが伝わってきます。
過去を総括して未来へとつなぐ
「レクイエム」(鎮魂歌)といえば、テレビ版の第51話で、盗賊集団「幻影旅団」のクロロ団長が団員ウボォーに向けて放った名台詞や、ED曲となったモーツァルトの「レクイエム 怒りの日」が連想できます。
コインゲームの結果が表か裏か、「H×H」の登場人物や作詞家陣がどのようなラストを願えばいいのか、その答えは観客や視聴者、リスナーに委ねられています。
37thシングル「REASON」が主題歌となった「劇場版 HUNTER×HUNTER 緋色の幻影」(2013年1月)、テレビ版ED曲となった第59~75・147話、提供楽曲のセルフカバー「流れ星キラリ(ゆずバージョン)」がED曲となった第76~98話など、過去を総括する意味もありそうです。
「H×H」に出てくるモチーフが随所に散りばめられていたと同時に、「H×H」をまだ観ていない人にとっても独自の物語を想像しやすい歌詞になっていました。
つまり「H×H」の世界観と歌詞独自の物語の2つが見事に「重なった」とも考えられるでしょう。
「光と影」などの相反する2つの概念に何を投影するかはリスナー次第です。
「過去を総括して未来へとつなぐ」という意味でも、まさに「表裏一体」というタイトルにふさわしい内容だったのではないでしょうか。
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さいごに
「表裏一体」は12thアルバム「新世界」(2014年2月)、オールタイム・ベストアルバム「ゆずイロハ 1997-2017」(2017年4月)にも収録されています。